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Lee-Byung-hun addicted

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第10話

Femme de ma vie ~Homme de ma vie <10> 



ここはGD自動車の応接室。
連絡をするとすぐギジュは時間をさいてビョンホンとの面会に応じた。
「お久しぶりです。その節はいろいろお世話になりました。揺さん、お元気ですか。」
「ええ、まあ。その話はあとでゆっくりしましょう。まずはビジネスの件を」
そういうビョンホンからはプライベートの時に見せる表情は全く消えていた。
商品のコンセプトや購買ターゲットなど自分のイメージにそぐわない点はないかどうか打ち合わせの中で詳細に確認した。
「さすがイ・ビョンホンさんですね。」
ギジュはそんな彼の仕事に対する姿勢に感心していた。
ビョンホンもまたギジュの仕事に対する明確なポリシーや手腕の巧みさを感じ好感を抱き始めていた。
「では、ビジネスの話はこれくらいにして少しプライベートの件でお時間頂いていいでしょうか」ビョンホンはそう切り出すと揺から頼まれた用件について言葉を選びながら語った。
「揺の話だとことは急を要しているようです。僕も同行しますから明日出発出来ませんか?」
「明日ですか?」ギジュは驚いて言った。
「大切な人が苦しんでいるのに急だなんだって言っていられないでしょう」ビョンホンが怒ったようにそういうと
ギジュは「これからではだめですか?」と言った。
ビョンホンは笑いながら言った。「この仕事楽しくなりそうですね。」
立ち上がり二人は固い握手した。
そして夕方、仁川空港で待ち合わせる約束をして別れた。


パリへの直行便には間に合わなかった二人は成田経由でパリへ向かうことに。
機内で過ごす10数時間二人はわだかまりなくいろいろな話をした。ある意味ビジネスパートナーとしての信頼感がプライベートでのわだかまりを払拭したといえた。
話してみれば実に気の合う二人だった。
お互い映画好きだったし、仕事に対するこだわりなども共感しあう部分が多かった。
「ビョンホンさん、最初私のこと嫌いだったんじゃないですか?」
「いや、そんなことないですよ。」ちょっとうろたえながらそう言ったビョンホンは
「実はそうなんです。第一印象はあまり良くなかったです。正直言って。」
「やっぱり。目が敵意に満ちてましたから」ギジュはゲラゲラと笑った。
「まいったなぁ」
「それは多分揺さんが絡んでいたからでしょう。彼女実に魅力的な女性ですよね。」
「そうでしょ。僕もそう思うんですよ。でもダメですよ。彼女は僕のものですから。」
ビョンホンは慌てていった。
「わかってますよ。充分。言われなくたって。あなたが彼女に夢中だってことは。」
ギジュはまた笑った。
「思っていたよりもあなたは実に人間的で魅力的な人物で今まで以上にファンになりました。」ギジュがそういうとビョンホンは頭をかいて照れた仕草をした。
「まいったなぁ」
「しかし、羨ましいですよ。あなたと揺さんが。ストレートに何でも言い合えて。僕とテヨンも昔はそんな関係だったのにいつの間にかお互いを気遣いすぎて何も言えなくなってしまった」ギジュは暗い窓の外を見ながらため息をついた。
「お互いを思いやるが故のすれ違いです。まだ間に合う。人生遅いということはないと思いますよ。気がついたときが潮時なんじゃないですか?僕はそう思います。」
ビョンホンはそういうとギジュに赤ワインが注がれたグラスを差し出した。
「意外と美味いんですよ。ここのワイン」笑いながら話しかけるビョンホンの笑顔にギジュは温かいものを感じていた。
「大丈夫。天使が二人もついてますから。大船に乗ったつもりでいてください。」
ビョンホンはグラスの中のワインを飲み干した。
「すいません、ちょっと行ってきます。」ビョンホンは立ち上がって化粧室に向かった。

mimiraとルビーとlotusrubyの三人はパリに行ったらまずどこに行こうか相談に余念がなかった。
彼女たちはイ・ビョンホンを通してPC上で知り合った仲ではあったがすっかり意気投合。今では彼がらみでない旅行も一緒に行く仲。もうひとりの仲間うさるなは今回は都合が合わずに欠席だった。
今度の旅行はビョンホンがフランス文化広報大使に任命されたことを記念してのパリ行きだった。
熱心に話し合う三人の横の通路に一人の男性が近づいて来る。
とてもいい香りが辺りに漂った。
香りに誘われて三人がふと顔を上げるとにっこり笑う「彼」
(うっそぉ~~~)彼女たちは驚いて声さえ出せなかった。

通路を挟んだ向かいの席にももうひとり驚いている女がひとり。
ただならぬその様子を見てルビーが彼女に声を掛けた。
「もしかして貴方も彼のファンですか?」
「ええ、死ぬほど好きです。」彼女は興奮しながら答えた。
「良かったらパリまで一緒にお話しませんか?」
「もちろん。あっ、私karinって言います。」彼女はそう自己紹介した。
パリまでの数時間四人が彼の話で盛り上がったことは言うまでもなかった。



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